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「夢の果て 安房直子十七の物語」
「詩とメルヘン」という雑誌が今もあるけれど、
どうも私は小学生高学年から数年間、毎号かかさず買っていた、ということを思い出した。
当時は童話・ファンタジー・SF・ミステリーを読みあさっていたもよう。
うちは画家一家だからか、マンガは一切御法度(好きなマンガは友だちのうちで読んでいた)。
でも本はたくさん与えられていた。読めやしないけど綺麗な挿絵付きの古い洋書まで。
いま思うと、なぜ司書になりたいと思わなかったのか不思議なくらいの本好きな子供だった。
そして生意気にテラヤマだなんだと騒ぎ出す前に、初めて大好きになった日本の作家がいたのだ。
それが安房直子。
もっと活躍している童話作家も他にいたけれど、
この人の童話が載っている号の「詩とメルヘン」は特別に嬉しかった。
先日、恋月姫さまに案内をいただいたBunkamuraギャラリーでの「私の劇場2013」展。
32名の出展者の中に懐かしいイラストレーター“味戸ケイコ”の名が。
安房直子作品にはいつもこの人の絵が添えられていて、
薄暗い色使いの、不思議で静かな絵が大好きだった。
大袈裟で派手な魔法よりも、
この人の描く少女の眼差しの方がよほど幼い私に夢を見せた。
今も変わらぬ彼女の絵、心の奥底に静かに刺さる感じがして、
そっとその前から離れると、目線の先にはこの本が。
「夢の果て 安房直子十七の物語」
文:安房直子 絵:味戸ケイコ
“「詩とメルヘン」に掲載された全作品を収録”
瑞雲社 定価2,000+税
2005年にこんな本が出ていたなんて!
ちっとも知らなかった。。
でもその時よりも今読める方が幸せな気がするのです。
時には純粋な童話はいかが?
そこにある“夢の果て”の方が、毒々しい物語より、
よっぽど怖いから。